長くじめじめしたトンネルだが必ず光は差す

CoVid-19(新型肺炎、コロナ)の影響で、3月から出演予定した演奏会、サウンドインスタレーションが合計6か所、中止になりました。

楽しみにしていただいていた方、申し訳ありません。けれども今は我慢、持久戦の最中です。新しいことに自宅でいろいろと挑戦中です。

二枚目(通算5枚目)のアルバムも録音を開始しています。9月販売予定です。年1枚のペースを維持したいところです。1枚目(通算4枚目)はアンビエント、環境音楽でしたが、今回はなんと踊れる曲になる予定です。

大学時代に作った3枚のアルバムが、奇跡的にカセットで残っていて、友人たち10人くらいに当時配ったものではありますが、それをデジタルファイルに落としたものを聴いていると、ハウスの一歩手前、トランスの胎動期のような曲があります。

実際、大学卒業時点で仲の良かったベースの方と、その友人のDJの方とでDJのグループを組んで、ディスコでバイトをするはずだったのですが、曲まで宅録で録音した(ビートルズディスコメドレーでした)のに、突如そのDJがお金が貯まったから車屋をやる!と言い出し、抜けてしまい、実現しませんでした。

ということで未完成だった続きをやろうと思います。リズムの速い曲も書き溜めて合って、どういうフォーマットで録音するか悩んでいたのですが、これでいけると思います。

またソロ活動とは別に、上板町で演奏している渋柿隊でもメンバーがそれぞれの自宅で新曲を練習中です。どうぞ演奏できる日を楽しみにお待ちください。

まだ長い暗いじめじめしたトンネルを抜け出られない状況ですが、必ず光は差し込んできます。ぜひがんばりましょう。

DAWソフトのSONARが嫌われたわけ

音楽をパソコンで作るソフトはDAWと言われていますが、これの草分け的ソフトの一つにローランドが日本で販売したSONARというものがあります。これは元々はアメリカのTwelve Tone Systems, Inc.(後のCakewalk社)という会社が80年代から開発していたシーケンサソフトから進化した集大成のようなソフトで、更にローランドが音源を提供し販売したので、2000年代はかなりの数の利用者がいたようです。

私も買ったのはSONAR7というもので2007年頃でしたが、仕事が忙しく、二曲だけ作ってほったらかしていましたが、メールでどんどんアップグレードされていったのは知っていましたが、いつの間にかローランドは販売しなくなり、ギターのGibson社にCakewalk社は吸収され、Gibsonにも見捨てられ、SONARは完全に終わったはずなのですが、シンガポールの若い音楽好きのベンチャーBandlabに拾われ、無料のDAWとして今も入手できます。

しかしこのように身売りを繰り返した挙句、誰からも見放されたSONAR(現在の商品名はCakewalk by Bandlab)ですが、一体何が起きたのでしょうか。

私もこの3年くらい古いSONAR7と新しいBandlabで作曲していましたが、このまま続けて良いのでしょうか。なぜSONARはこんなに嫌われて見放されたのか、を考えるとこの20年の音楽の進化の裏面を見ることもできて面白いので少し書きます。



不安定で病気のようなソフト

まず、SONARがずっと抱えていた問題は不安定で、病気のようなソフトだということです。最悪のソフトではありません。あくまでも不安定なのでまるで人が病気をしているような感じです。

もし病気でなければきっと元気で立派な働きをしてくれるソフトなんだろう・・・と期待して、多くの、特にローランドのファンはSONARからしばらく離れなかったわけですが、大体いつも病気をしているので、役に立たないわけです。

その症状ですが、多いのは、フリーズです。フリーズするとパソコン自体が固まることが多く、再起動するのも大変になります。

次に多いのが勝手に落ちて、画面が消える、です。もちろん途中のデータはセーブされません。

次にというかもしかしてこれが一番多いかもしれませんが、オーディオの認識がやっかいでときどき設定が消える、ということです。ASIOというオーディオ・インターフェースについているデバイスを認識させるわけですが、これが突然調子悪くなるのです。

パソコンのメディアプレーヤーからは同じ―ディオインターフェースのASIOで音楽を聴けたりするので、もう完全にSONAR限定の病気なわけです。

このように不安定だとプロはまず

使いません。

仕事で作った物が消えてしまったり、スケジュールが狂ってしまうようなものは、絶対使いたくないでしょう。特にWindows7からはパソコンはかなり安定して動くにもかかわらず、SONARは停まる、ということが多々あって、恐ろしくて使えないソフトになってきました。

普通の操作がマウスでできない

二つ目が、普通はこうだろーという操作がマウスでできないところです。私は譜面ビューで入力しないと落ち着かないため、譜面ビューで打てる昔ながらのSONARから逃げられなかったのですが、譜面ビューで音符の範囲をハイライトしてコピーすることができませんでした。今のBandlabはできるようになりましたが、こんな当たり前のことができませんでした。

また小節を表示する数字が出ている部分をハイライトすると、そこに収まっている音符がハイライトされますが、これで小節をコピーすることもできませんでした。今の Bandlab だとできたりできなかったり不安定です。

コピーするにはいちいち、何小節の場所はどこというのを02:01というように(これは二小節目の一拍目という意味です)数字で入れて範囲の最初と最後を指定しなければいけません。

これは膨大な時間がかかります。

ただコピーしたいだけですよ!Vocaloid2などを持っている方は分かりますが、マウスでコピーしたい範囲を囲むと中の音符は全部まとめてハイライトされ、コピー、ペーストがマウスですいすいできます。

当たり前です。

しかしこうした当たり前のことができないので、SONARを使うと、えらく無駄な時間を取られるわけです。

苦行に似ています。

他にも三連符は音符三つ揃っていれば三連符として記されますが、中の音を取ったりして、シャッフルのドットドットのようなリズムにすると、八分音符に勝って記譜を変えてしまいます。

バカです。これを見たら八分音符だと思うじゃないですか!ジャズやR&Bの曲を作ると非常に混乱するわけです。

つくづく嫌になります。

もっと使いにくかったのが、ミキサー部分で、特にどうやればバスやマスタートラックが表示されるのかされないのか、いまだにわかりません。ある時はマスタートラックがありますが、あるときはありません。そもそもマスタートラックを表示させる枠があるみたいなのですが、それをどうやって出すか分かりません。あるときは枠の中に他のバスと一緒にありますが、あるときは何も見えません。

こんなソフトでは、作業する以前のところで延々と何時間も取られて

やる気がなくなってしまいます。

ローランドが手を引いたことで音源が無くなった

今別のDAW、例えばフリーで手に入るAbleton Live Liteをダウンロードしてもらうと分かりますが、とても現代的なすぐ使える音色の音源がついています。

ローランドがSONARを販売をしていたときは比較的豪華な音源がついていました。またCakewalk社の音源もDimensionやRaptureなどテクノやトランス、EDMで使えるいい音が入っていました。

ちょっとギブソン版はどうなっていたのか分からないのですが、Bandlab版には音源がありません。ないこともないのですが、非常に悲しいしょぼいものしかありません。

まあただで手に入るVSTプラグイン音源もありますので、それを入れればいいのですが、ただでDAWを手に入れたいと思っている人が、VSTプラグインを自分でスイスイ入れられるはずはありません!

こういうところはBandlab社は考えなかったのでしょう。SONARの灯した火を消したくない!という使命感でギブソン社から買い取ったか分かりませんが、音源のないDAWは骨と皮しかない魚みたいなもので、使う人は限定されるだろうなーと思います。

他にも私のSONAR7Studio Editionにはなかったのですが、V-Vocalという歌を修正できるソフトもローランド時代はあって、SONARを使わないとV-VOCALは手に入らなかったようで、今は誰でも歌を修正するとなるとMelodyneというソフトを使うようになってしまって、ローランド社は業界スタンダードになるチャンスを逃してしまったわけです。

ほかにもPADで入力するという見た目がPADになっている画面がすでに2010年版ころからありますが、タブレットで使えないSONARですから、PADがあってどうすんねん・・・

パソコンの画面でも突っつけっていうのかごらああ!とツッコミを入れたくなります。外部PADで入力するならそんな画面は要らないですし、いったい何をしたかったのか、謎な機能が満載です。

進みすぎていたのか?いえ、ただユーザーを無視して詰め込んだだけ

こう見るとSONARはひょっとして進みすぎていて、パソコンのパワーや使用できるデバイスが出そろっていない、まだタブレットが普及していないような時期に存在してしまった悲劇のDAWなのではないかと思ったりします。

たしかに私の32GBのメモリのPCではSONAR7は落ちにくくなりましたがそれでも時々フリーズします。Bandlabに乗り換えたつもりでしたが、割とよくクラッシュします。

Bandlabになっても突然オーディオが認識されなくなる現象が先日2度起きました。

SONARはただ単に使いにくい、ユーザーを無視して、あったらいいなみたいな思い付きを詰め込んだソフトです。設計も古いので、古い物に古い物を積み上げて魔改造した、香港映画に出てくる何とか城のような違法建築群になってしまったのです。

本当にやるべきはバグを取って、シンプルにして、普通にマウス操作ができる軽いDAWに作り替えるべきでしたが、最近(2019.12月)のアップデートでBandlabがアップデートされ、いよいよ操作性と画面の見た目にメスを入れましたが、かえって悪化して使いにくくなりました。

以前はトラックでシンセと音色とMIDIチャンネルを選べましたが、ミキサー部分でないとできないようになってしまいました。

MIDIも混線するようになっています。原因不明です。おそらくこのトラック周りの見た目を変えたのと関係しているでしょう。

アップデート前のBandlabはだいぶ良い状態で、もしやSONARはこれからも安泰かなどと思ったのですが、この、何も考えていないようなアップデートでいよいよ踏ん切りがつきました。

※そもそも去年からBandlabに登録してからダウンロードするようになってしまっていますが、そこで多くの人が躓くようです。

無料のソフトに改善を求める声もないのか、ネットで問題を解決する方法ももう出ていません。

もはや風前の灯と言っても良いわけですが、音符入力できるDAWソフトは多くないので、ローランドの最後の物、あるいはギブソン社の版を使い続ける人はいるかもしれません。

またローランド時代のSONARについていた、DxiでローランドのTTs-1やGrooveSynthという、いかにも90年代のクラブミュージックを支えたチープなローランドの楽器音がする音源は魅力的です。Dxiなので、現代の他のDAWにプラグインできないので、もしかしてこの音源のためだけにSONARを使う人もいるかもしれません。

代わりのDAWは何かといえば

SONARに見切りをつけた人が何を使えばいいかというと、いろいろDAWはあるので試してみる、としか言いようがありません。

が、

作曲スタイルを変えないなら、別にSONARで良いじゃないか・・・という結論になります。音が寂しければ、VSTの音源を足せば?

ということになります。

しかし新しいことにチャレンジしてみたければ、あるいは作業効率を変えたければ、別のDAWに挑戦となります。

今一番売れているのは、StudioOneのようです。勢いのあるのはAbleton Liveです。どちらも譜面入力はできないので、Notionという軽い譜面ソフトを買って、ReWireでつなぐと動くようです。

今、私はNotionを購入して、これで入力の練習をしていますが、驚くほどサクサクと譜面入力ができます。

まだDAWとつないでないので、分かりませんが、Ableton Live Liteを今いじり倒そうとしていますので、これにつなごうと思います。ユーザーフォーラムを見ると簡単につながるようです。

日本製のDAWもSinger Song Writerなどは持っていませんが、充実しているように見えます。

もしずっと同じ作曲スタイルでいいならSONARですが、挑戦者はぜひ新しいDAWに乗り換えてみてください。




音楽雑感を始めることにしました

音楽雑感を書くことにしました。

演奏会が軒並み中止になり、少し時間ができたので、できるだけ毎日、音楽雑感を書いていきます。ときどき、政治・経済・教育雑感になっていることもあるかもしれません。

タグでかき分けますのでぜひ関心のあるトピックがありましたらご覧ください。雑感ですので、スタイルもなく、長さも短いときがあります。

ということで、ライブハウスです。大阪でコロナが感染している中、最初にまるでコロナの感染源のように扱われました。

おいおい、コロナの感染源は中国からの来訪者でしょう?

と誰も正直に声を上げなかったせいですっかり悪者になりました。嘘かホントかネットではギターのケースを持って歩いているだけで、「お前のようなのがいるから、コロナが広まるんだ!」と高齢者に罵られた若者がいるとかいないとか。

危機時に誰かを悪者にして、憂さ晴らしをしたいのは分かりますが、そういう高齢者がジムに通い、バーに通い感染させていたのが愛知県の例で、もう誰かを悪者にしている場合ではありませんでした。

しかしひとつわかったのは、ライブハウスは個人経営が多く、政党によるバックアップもなければ、強力な意見を言える組合もなく、実にロックでパンクな一匹狼だったということです。

悪者にされた業界は、現与党に対する献金が少ない、議員に口利きができない、アンダーグラウンドな人たちがバックに就いていないところでした。

ライブハウスは当然資金繰りなども難しいでしょうから、今後数か月はもたない可能性があります。

社会は与党に献金する団体だけ生き残る傾向が強く、音楽関係者は腹をくくって今までと違うやり方で収入を得ないとまずい、というのをまざまざと見せつけられました。

一方でドイツなどでは芸術家やパフォーマーに手厚い補償がもう出ているというネット情報もあります。

国が芸術やそれにかかわる人間をどう見ているか。今回のコロナでよくわかる事例となりました。