POCOCHA音楽な朝配信スタイルの変更について

POCOCHAでお届けしている「音楽な朝」ですが、これまでのDJ+トークのスタイルを、火曜日の阿波ポップス・デーを除いて変更いたします。

今後、ミニマルテクノとアンビエントを「演奏」していくことにします。キーボードやパソコンを使わないスタイルで実験的に演奏していきます。サンプリングを多用しています。

現在は家の中で録った雑音ノイズを使って演奏を組み立てています。あまり日本にはないスタイルだと思います。

よろしくお願いします。

(瞬間的かもしれませんが)POCOCHAイベントデビューポコトレで午後1位になりました

(瞬間的かもしれませんが)POCOCHAイベントデビューポコトレで午後1位になりました。

ただ、このイベントは今日の夜11時59分まで続き、午後だけの参加でしたので、順位は夕方から下がっていくと思いますが、午後は1位にさせていただきありがとうございます。ファミリーやコアファンのみなさま、様子を見に来てくれた皆さま、ありがとうございます。

明日22日のPOCOCHA配信はお休みします

明日22日のPOCOCHA配信はお休みします。

来週の配信をさらに良くするために下準備と練習をします。

今週はランクを上げてくださりありがとうございます。コアファンも二名増えました。ありがとうございます。

#POCOCHA #音楽な朝ときどき夜も #DJプレイ

日本の環境音楽史 History of Japanese Ambient Music

環境音楽と聞いてパッとイメージが出る方は80年代、90年代に大人の時間を過ごした方で、平成生まれの方などはあまりピンとこないかもしれません。

平成生まれの方は代わりにノラジョーンズとか何故かジョンコルトレーンとかジャズのことをよく知っています。

実はこの二つには共通性があります。どちらもデパートとかカフェとか公共の場で良くかかる音楽です。

80年代、90年代は美術館やデパートで環境音楽がかかっていましたが、2000年代はどういうわけかジャズがかかっていました。

今また、やっぱり若いお母さんたちが集まるデパートでジャズは変なのではないかということで、環境音楽に戻りつつあります。

環境音楽とはどんな音楽か

そんな環境音楽ですが、何が環境音楽か?と考えると難しい問題になります。歴史的な考察は別記事に譲るとして、基本的に環境音楽には二種類あります。

タイプ1 聞いても聞かなくてもいいもの。その場にある、という感じで、じっくり聞いても記憶に残るメロディーがほとんどない。

タイプ2 聞くと覚えられるメロディーがある。

どちらも大体静かでゆったりとしたテンポでシンセサイザーや民族楽器などが中心で作られています。

タイプ1は完全にその場所に溶け込んでいます。渓流に行くと川のせせらぎや夏はセミの声が聞こえますが、そんな感じです。聞こうと思えば聴こえる、無視しようと思えば無視できる。これが純粋な環境音楽だという意見が主流です。

一方で、タイプ2のほうは、「環境音楽ではなく、ニューエイジ」なのではないかという主張もありますが、環境音楽を聴く側もやる側もそれほど厳密に違いを求めているわけではないので、どうしてもメロディーがはっきりわかったり、繰り返し部分が覚えられる曲を作ります。そしてこういう曲を環境音楽ファンは排除はしないようです。

ということで、その場にある音のような曲もあれば、聴くと記憶に残る曲もあるということを押さえておくと、日本の環境音楽の歴史が面白く見えてきます。

1980年代

吉村弘
吉村氏が日本のタイプ1の先駆者というか、いきなり登場しいきなり完成されたスタイルを提示てしまった方のようです。歌モノや歌謡曲が強かった昭和の音楽市場でインストのものは70年代フュージョンブームがありましたが、インストというだけで、「売れない音楽」の烙印を押されるわけです。

ただ、70年代には十分シンセサイザーが広まりましたし、後述するように喜多郎や冨田勲のようなどちらかと言えば「ニューエイジ」な方たちが活躍して、80年代の高度成長経済完成期に多くの企業が私的美術館を持ったことで、「環境音楽」が日本に生まれる環境(!)は完全に整っていたわけです。

彼は1983年の釧路市立博物館 館内環境音制作を皮切りに次々と公的な場の環境を創出していきます。1984年にはおそらく氏の活動で一番大衆にアピールしたAIR IN RESORTというアルバムを出し、このアルバムはなんと資生堂「春の化粧品デー」プレゼント用LPになりました。

全体にこの当時は文化や社会が今よりも、大人っぽい時代でした。女性は大体高卒か短大卒で1-2年銀行や企業に勤めてそこで年上の将来の出世株の男性社員と結婚し、上司が仲人をするのがもっとも理想とされていた社会でした。

今20代の女性がセーラー服もどきの服を着てツインテール(笑)とかしてTVに出ていて、いつまで子供をやっているんだろうと不安になりますが、80年代はそういう時代ではなかったのです。

いかに早く、大人のハイセンスを身に着け、大人であることをクールに楽しむか、という時代でした。吉村氏の音楽がかかる美術館はそういう大人たちの美的感覚を時に刺激し、時にやわらげ、さぞ素敵な空間として、成り立っていたことでしょう。

吉村氏は残念なことに2003年に亡くなっていますので、近年の環境音楽リヴァイヴァルのような動きを目にすることはできなかったわけですが、私のような後から参入してくるものにとっては避けては通れない道となっているわけです。

イノヤマランド
電子音楽が好きな人にとっては、イノヤマランドという名前は知らなくても、ヒカシューという名前は知っているはずで、70年代後半、YMOと同じくらい注目されていたグループですが、そのメンバーの山下康氏と井上誠氏が、ヒカシューの活動と並行して行っていた活動がこのイノヤマランド。

イノヤマランドのデビューアルバム、DANZINDAN-POJIDONはやはり1983年にリリースされている。吉村弘氏といい、イノヤマランドといい、1983年に不朽の名作をいきなり出してしまうということはこの1983年がある意味日本の環境音楽元年というか幕開けなのだけれど、いきなり名作を出されると後塵は困ってしまうなー。

DANZINDAN-POJIDONのジャケットを見ると間違いなく、ブライアンイーノのAmbient 1: Music for AirportsやHarold Budd + Brian EnoのThe Plateau of Mirrorのリスペクトというかオマージュというか同系統というか、ジャケットを見るだけで、当時最先端の大人の音楽と目されていた環境音楽ファンは「にやっ」と笑ったはず。ここは大人なので「くすっ」と笑うのではなく、にやっと笑ったに違いない。

イノヤマランドは他にも素晴らしいアルバムを出していて、Music for Myxomycetesなどが私は大好きですが、このDANZINDAN-POJIDONは2010年あたりから始まっている全世界的な環境音楽・リヴァイヴァルのおかげで、欧州で注目されて、再発売されているそうです。

高田みどり
私は80年代ほとんど全部の音楽雑誌の隅々まで読んでいたと思うのですが(←実に一生懸命でしたね)、彼女の名前はひっかかってきませんでした。西ドイツでパーカッショニストとして活躍していた彼女が1983年に制作したThrough the Looking Glass(鏡の向こう側)を私が初めて聴いたのは、2019年、シンガポールで開催されていた”MINIMALISM: SPACE. LIGHT. OBJECT”という美術館の特別展示ででした。

彼女のThrough the Looking Glassに収められている大曲、Catastrophe Σがものすごい迫力でこの曲の為だけに設けられたブースで流れていました。それを何度も何度も聞いて、びっくりしたのです。なぜこんな人が日本で紹介されないのかと。

ドイツで活躍していた彼女が注目されたのもやはり環境音楽リヴァイヴァルが起こってからのことで、2013年にとあるYoutuberが彼女の曲をアップして再生回数が一気に百万も行ってしまったのでこのアルバムが再発売されたということのようです。

それにしてもまた1983年発表のアルバムなんですね。恐るべし1983年。

ミニマルミュージックは同じフレーズを何度も繰り返し、その間楽器が入れ替わったり積み重なったりすることで強弱を付けて行く音楽です。すべてのミニマルミュージックは環境音楽ではありませんが、多くの環境音楽はこのミニマルミュージックの繰り返しの手法を使うので、ミニマルミュージックは環境音楽の母のような存在です。

普通は穏やかな路線のミニマルミュージックと環境音楽ですが、このCatastrophe Σのド迫力と衝撃的な破壊力はぜひ一度味わってほしいものです。

私は今をさることかなり前、80年代の大学時代このミニマルミュージックと今でいうアシッドハウスを混ぜたような音楽を自宅録音していました。しかし住んでいるところは地方都市で聴いてくれるのも友達10人くらいで、今一つモチベーションが続かずより楽しそうな言語の研究に行ってしまいました。

もしここで紹介している、1983年組、鬼才とも言える大先輩たちに当時触れることができていたら、ずっと続けていたかもしれません。

この記事はどんどん続きを書き足していきます。次は90年代です。



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明日5・17日朝10時POCOCHA配信予定

明日はRed Hot Sun Guy Dayということで、ノリノリの曲をお届けします。

1.行かないで
2.眉山・橋物語
3.上板の丘
4.月と太陽
5.勇気を出して空へと飛び立てば
6.Cum on Feed the Boys!
7.もしも世界がもう一度生まれ変われるなら

曲の解説はこちらをご覧ください。