日本の環境音楽史 History of Japanese Ambient Music

環境音楽と聞いてパッとイメージが出る方は80年代、90年代に大人の時間を過ごした方で、平成生まれの方などはあまりピンとこないかもしれません。

平成生まれの方は代わりにノラジョーンズとか何故かジョンコルトレーンとかジャズのことをよく知っています。

実はこの二つには共通性があります。どちらもデパートとかカフェとか公共の場で良くかかる音楽です。

80年代、90年代は美術館やデパートで環境音楽がかかっていましたが、2000年代はどういうわけかジャズがかかっていました。

今また、やっぱり若いお母さんたちが集まるデパートでジャズは変なのではないかということで、環境音楽に戻りつつあります。

環境音楽とはどんな音楽か

そんな環境音楽ですが、何が環境音楽か?と考えると難しい問題になります。歴史的な考察は別記事に譲るとして、基本的に環境音楽には二種類あります。

タイプ1 聞いても聞かなくてもいいもの。その場にある、という感じで、じっくり聞いても記憶に残るメロディーがほとんどない。

タイプ2 聞くと覚えられるメロディーがある。

どちらも大体静かでゆったりとしたテンポでシンセサイザーや民族楽器などが中心で作られています。

タイプ1は完全にその場所に溶け込んでいます。渓流に行くと川のせせらぎや夏はセミの声が聞こえますが、そんな感じです。聞こうと思えば聴こえる、無視しようと思えば無視できる。これが純粋な環境音楽だという意見が主流です。

一方で、タイプ2のほうは、「環境音楽ではなく、ニューエイジ」なのではないかという主張もありますが、環境音楽を聴く側もやる側もそれほど厳密に違いを求めているわけではないので、どうしてもメロディーがはっきりわかったり、繰り返し部分が覚えられる曲を作ります。そしてこういう曲を環境音楽ファンは排除はしないようです。

ということで、その場にある音のような曲もあれば、聴くと記憶に残る曲もあるということを押さえておくと、日本の環境音楽の歴史が面白く見えてきます。

1980年代

吉村弘
吉村氏が日本のタイプ1の先駆者というか、いきなり登場しいきなり完成されたスタイルを提示てしまった方のようです。歌モノや歌謡曲が強かった昭和の音楽市場でインストのものは70年代フュージョンブームがありましたが、インストというだけで、「売れない音楽」の烙印を押されるわけです。

ただ、70年代には十分シンセサイザーが広まりましたし、後述するように喜多郎や冨田勲のようなどちらかと言えば「ニューエイジ」な方たちが活躍して、80年代の高度成長経済完成期に多くの企業が私的美術館を持ったことで、「環境音楽」が日本に生まれる環境(!)は完全に整っていたわけです。

彼は1983年の釧路市立博物館 館内環境音制作を皮切りに次々と公的な場の環境を創出していきます。1984年にはおそらく氏の活動で一番大衆にアピールしたAIR IN RESORTというアルバムを出し、このアルバムはなんと資生堂「春の化粧品デー」プレゼント用LPになりました。

全体にこの当時は文化や社会が今よりも、大人っぽい時代でした。女性は大体高卒か短大卒で1-2年銀行や企業に勤めてそこで年上の将来の出世株の男性社員と結婚し、上司が仲人をするのがもっとも理想とされていた社会でした。

今20代の女性がセーラー服もどきの服を着てツインテール(笑)とかしてTVに出ていて、いつまで子供をやっているんだろうと不安になりますが、80年代はそういう時代ではなかったのです。

いかに早く、大人のハイセンスを身に着け、大人であることをクールに楽しむか、という時代でした。吉村氏の音楽がかかる美術館はそういう大人たちの美的感覚を時に刺激し、時にやわらげ、さぞ素敵な空間として、成り立っていたことでしょう。

吉村氏は残念なことに2003年に亡くなっていますので、近年の環境音楽リヴァイヴァルのような動きを目にすることはできなかったわけですが、私のような後から参入してくるものにとっては避けては通れない道となっているわけです。

イノヤマランド
電子音楽が好きな人にとっては、イノヤマランドという名前は知らなくても、ヒカシューという名前は知っているはずで、70年代後半、YMOと同じくらい注目されていたグループですが、そのメンバーの山下康氏と井上誠氏が、ヒカシューの活動と並行して行っていた活動がこのイノヤマランド。

イノヤマランドのデビューアルバム、DANZINDAN-POJIDONはやはり1983年にリリースされている。吉村弘氏といい、イノヤマランドといい、1983年に不朽の名作をいきなり出してしまうということはこの1983年がある意味日本の環境音楽元年というか幕開けなのだけれど、いきなり名作を出されると後塵は困ってしまうなー。

DANZINDAN-POJIDONのジャケットを見ると間違いなく、ブライアンイーノのAmbient 1: Music for AirportsやHarold Budd + Brian EnoのThe Plateau of Mirrorのリスペクトというかオマージュというか同系統というか、ジャケットを見るだけで、当時最先端の大人の音楽と目されていた環境音楽ファンは「にやっ」と笑ったはず。ここは大人なので「くすっ」と笑うのではなく、にやっと笑ったに違いない。

イノヤマランドは他にも素晴らしいアルバムを出していて、Music for Myxomycetesなどが私は大好きですが、このDANZINDAN-POJIDONは2010年あたりから始まっている全世界的な環境音楽・リヴァイヴァルのおかげで、欧州で注目されて、再発売されているそうです。

高田みどり
私は80年代ほとんど全部の音楽雑誌の隅々まで読んでいたと思うのですが(←実に一生懸命でしたね)、彼女の名前はひっかかってきませんでした。西ドイツでパーカッショニストとして活躍していた彼女が1983年に制作したThrough the Looking Glass(鏡の向こう側)を私が初めて聴いたのは、2019年、シンガポールで開催されていた”MINIMALISM: SPACE. LIGHT. OBJECT”という美術館の特別展示ででした。

彼女のThrough the Looking Glassに収められている大曲、Catastrophe Σがものすごい迫力でこの曲の為だけに設けられたブースで流れていました。それを何度も何度も聞いて、びっくりしたのです。なぜこんな人が日本で紹介されないのかと。

ドイツで活躍していた彼女が注目されたのもやはり環境音楽リヴァイヴァルが起こってからのことで、2013年にとあるYoutuberが彼女の曲をアップして再生回数が一気に百万も行ってしまったのでこのアルバムが再発売されたということのようです。

それにしてもまた1983年発表のアルバムなんですね。恐るべし1983年。

ミニマルミュージックは同じフレーズを何度も繰り返し、その間楽器が入れ替わったり積み重なったりすることで強弱を付けて行く音楽です。すべてのミニマルミュージックは環境音楽ではありませんが、多くの環境音楽はこのミニマルミュージックの繰り返しの手法を使うので、ミニマルミュージックは環境音楽の母のような存在です。

普通は穏やかな路線のミニマルミュージックと環境音楽ですが、このCatastrophe Σのド迫力と衝撃的な破壊力はぜひ一度味わってほしいものです。

私は今をさることかなり前、80年代の大学時代このミニマルミュージックと今でいうアシッドハウスを混ぜたような音楽を自宅録音していました。しかし住んでいるところは地方都市で聴いてくれるのも友達10人くらいで、今一つモチベーションが続かずより楽しそうな言語の研究に行ってしまいました。

もしここで紹介している、1983年組、鬼才とも言える大先輩たちに当時触れることができていたら、ずっと続けていたかもしれません。

この記事はどんどん続きを書き足していきます。次は90年代です。



ツイートをお願いします。

「脱悲入喜」Ableton Live 10 Liteだけで作ったAmbient曲その3

コロナウイルスのせいで、町中が、日本中が、世界中が暗く思い雰囲気になっています。

こんなときだからこそ、少し元気が出るアンビエント曲を作ってみました。また例によってAbleton Live 10 Liteだけで作っています。

今回の実験は、ドラムを入れてみようと思ったのですが、自分で作るのは面倒くさいので、Ableton Liveにはそもそもパターンがたくさん入っているのでそれを試してみようと思いました。

セッションビューで、空いているトラックに、画面左の<コレクション>から<クリップ>→<709 Kit Groove何とか>というものを選んで入れてみました。

<何とか>になっている部分は番号なのですが、一回トラックに入れてしまうともう名前が全部見えなくなってしまいます。

><;

これは良くないですね。でも入れてしまえば自動でテンポも小節の頭も合わせてくれます。さすがこの辺りはAbleton Liveです。

クリップのスタートストップで、おお!ドラムが気持ちよく鳴るじゃないですか。跳ねるようなリズムで狙った通りの元気の出るパターンです。

こうしてできあがりましたが、題して、「脱悲入喜」。

また例によって題名はアンビエントなイメージで沸いた漢字をつなげているだけで何と読むかは分かりませんが、見てその字のごとく、という感じで、楽しくなるようにしました。

「脱悲入喜」Ableton Live 10 Liteだけで作ったAmbient曲その3

それでは、まだまだ実験は続きます。

Ableton Live 10 Liteだけで作ったアンビエント曲「春林虫」

Ableton Live 10 Liteの実験、研究をしています。このDAWソフトは、機材を買うと大体オマケでついてきます。Abletonのサイトに行けば機材を買わなくても入手できます。

今日の実験・研究は前回の「静闘考」と全く同じ設定で、全然違う印象の曲を作れるか、というものです。

なぜこんな実験をするかというと、

(1)前回の設定が良かったので、もっと曲を作りたくなった(笑)

(2)ライブをする際、次の曲をやるのに、

①いったん曲のファイル(Liveセットと呼んでますね。基本用語がいちいち普通のDAWと呼び名が違うのは慣れが必要です)を閉じて別ファイルを開けなければいけないか?

②それとも、同じファイル上でできるのか?

が知りたかったからです。

予想通り、一つのライブセットで違う印象の曲をやることはできますが、まあ、テンポを変えたりするなら、別のLiveセット(Liveセットと日英語混ぜて打つのもめんどくさいですね・・・ファイルじゃダメなんでしょうか?)を開いた方が楽かもしれません。

ということで、前回の「静闘考」より明るい曲を実験的に作りました。

題して「春林虫」。何と読むかは例によって、曲の印象でアンビエントに題名を付けているので分かりませんが、春になるとにぎやかに飛び回る小さい虫のイメージです。

春林虫(mp3)

「春林虫」Ableton Live 10 Liteだけで作成

※リラックス効果がありますので、念のため車の運転中は聴かないようにしてください。

Ableton Live 10 Liteだけでこんなに楽しめます。面白いDAWソフトですね。

四国の香川県ではゲームをするのは1時間だけという条例ができたそうですが、DAWはゲームではありません。無料で入手できるAbleton Live 10 Liteで遊び倒してみてはどうでしょう?

ライブで手軽にLoop音楽(ループ音楽。ダンスやアンビエントなど)を演奏できる三つの方法とAbleton Live 10 Liteのメリット

ライブでLoop音楽を演奏できたらクールですね。

ループ音楽といえば、ダンスやアンビエント、現代的アンビエントのチルアウト、民俗音楽やヒップホップもイケるでしょう。

古典的にはミニマルミュージックですね。私はミニマルなアンビエントを作っています。

ライブで一体何をどう演奏すればいいのかが、ずっと去年あたりから悩んでいた問題で、ライブはメンバーを組んで別にやればいいということもあって、別にグループも組んでいますが、そこではミニマルなアンビエントはできないこともあって別プロジェクトなわけです。

では一人でどうやってライブでLoop音楽をやるか。それもできれば機材の搬入や設定がごちゃごちゃしておらず、

スッキリ!

まずは手軽に!

できたら嬉しいわけです。それで12月ころから3か月間Youtubeを見まくって海外のCoolでHipな人たちを見まくったところ、大体次の三つの形態で彼らは演奏をしているのでした。 

Loop音楽をライブでやる三つの方法

<方法その一 RC-505のようなLooperを使う>

一つ目の形態がBOSS RC-505に代表されるLooperを使って生演奏をする方法です。

BOSS RC-505はルーパーの最高機種

これを使って、もっとも CoolでHip な演奏をしていたのは、 Reinhardt Buhrさんという人で、ストリートで一人で独特の楽器群に囲まれて演奏しています。

このReinhardt Buhrさんにはまってしまい、一時期は彼の一挙手一投足全てをじっくり見ていましたが、 ある日、気が付きました。

機材が凄い!

お金がかかっているという意味でも(彼は新しいものが好きなようで、いろいろお金を機材に掛けています。いわゆる機材「沼」にはまりこんでいる幸せな人です)、

物理的な量という意味でも。

これ、一人で運搬ってできないんじゃないですか?ストリートでやるなら誰か見張りくらいはしていないと、搬入すらできませんよ。高額の機材だし(笑)

というのに気が付いてしまいました。ライブハウスでワンマン貸し切りで、前後に誰もいなければできるか・・・

カフェと懇意になって午後3時間くらい貸してもらうか・・・

などなど、思いましたが、現状私が考えているライブは、ほかの出演者もいるだろうところで、ホイホイっと前に出てさっと30-40分くらいやる感じかな・・・

と思っているので、ここまで機材を持ち込むことができません。

なぜ、Reinhardt Buhrさんはこんな山盛り機材を持ち込むかと言うとここが本質なわけですが、Looperはエフェクターなわけで、何か別に音源がいるわけです。

ここは結構大事です。Looperはエフェクターなので、音源が別に必要です。

彼の場合、ライブでのエンターテイメント性を高めるため、たくさんの生楽器を使っているのでしょう。目立ちますから・・・

いろんな音色を使いたい、しかも生の音で・・・となるとReinhardt Buhrさんになります。でもシンセサイザーの電子音でもいいんじゃないか?となればもう少し楽です。

シンセでも良いわけですが、ギターだけとかで何かできないか?という独創的な人もいるでしょう。

再現できるかどうかは分かりませんが、ほとんどギターだけでLoop音楽を作ってしまった、マニュエル・ゲッチングさんというクリエイティブな人もいるので、参考に貼っておきます。

知っている人しか知らないのがもったいない人ですね。時代が古いので、Looperやシーケンサーのような便利な機械はなく、ひたすら手で演奏して多重録音して音を重ねたと思います。

さて、このBOSS RC-505に限らず、入門用のBOSS RC-1などもありますが、Looper全体に共通して私が不安なのが、

最初の一発目の録音の時、リズムが正確に取れるのか?

というところです。もちろんリズム感がサイボーグのように正確な人もいますし、何度か練習すると慣れるだろう、というのはあります。

BOSSのRC-505はクリック音の代わりにクルクル回るインジケーターがあってそれで一ループ分と分かるようです(持っていないので間違っていたらすみません)。しかし耳で聞くクリック音ではないですし、ちょっと不安です。

演奏中のストレスとしてはかなりMAXなのではないか?と思います。まあ、思い詰めずに気楽にやろうという気もしますが、ライブの不安要素を取り除きたい方には結構ストレスです。

ですので、最初の2小節だけでもパーカッションかドラムが機械で鳴ってくれたら楽ちんですね。

どんな音源を持ってくるかという問題も大きいですが、この慣れるかどうか?は結構博打なとところです。RC-505はあまり見ませんが、Looperの中古品が多く出回っているのは、どうクリエイティブに使うか思いつかなかったというのもあるかもしれませんが、

慣れなかった、というベタな理由もあるでしょう。

<方法その二  Korg Volcaのようなアナログシンセを内蔵シーケンサーやLooperと使う

リズムが正確に取れるかどうか不安を抱えるより、もっと演奏や音色に力を使いたいという方は、そもそも何か音源が必要なんだから、シンセサイザーやドラムマシンを使えば楽なんじゃね?

と思うでしょう。

その通りです!

しかもシンセやキーボードには内蔵シーケンサーやリズムマシンが最初からついているものも多くあります。

なあんだ、じゃあ、キーボード一台でできるんじゃん・・・お手軽だ!

と思いますが、ここでキーボード一台でやると、

あなたはエレクトーン奏者ですか?

と思われてしまいます。日本が発明した偉大なエレクトーン。ベースもリズムマシンもメロディも一台でできてしまいます。

これはエレクトーン奏者に申し訳ないのですが、あまりパフォーマンス性がよくないです(本当はスゴイことだと思うのですが。私も6歳あたりから小4までエレクトーン教室に通いました)

ここでやはり目立ちたい、時代は21世紀だし!という方には朗報です。シンセサイザーには鍵盤があるキーボードタイプと鍵盤がない、箱型のモジュラーと呼ばれるものがあります。

そのモジュラー型には最近アナログシンセサイザーという厚みのある音を出してくれるものが廉価で続々と出てきています。

どうもこのアナログシンセのモジュラー、モジュールを集めるのが趣味な人が特に欧州に多いようで、趣味のジャンルとして確立しています。

シンセ沼・・・

それもアナログ・シンセ沼・・・

沼と言う言い方、大好きなのですが、車やオートバイを買って改造する「改造車沼」よりははるかに安く、ガンダムを塗装するプラモ沼よりは、人にも喜ばれる(かもしれない)趣味です。

古着沼にはまってボロボロジーンズを何万円で買うより実用的かもしれません。

実は私も大学時代「機材沼」にはまり、機材を買うバイトのために生活が苦しかった。

青春は全部無駄になりました><;

それはまた後で書くとして・・・

そのアナログシンセの入門用でしかも最強のものが、KorgのVolcaシリーズです。いくつも種類が出ていますが、沼の入り口は、BassかKeysというもののどちらかのようです。なぜかBassのほうがやや人気があるようです。

VOLCAの中で最も人気があるBass。Bassと言いながら普通のシンセの音が出る。

Volcaは小さい箱に小さい鍵盤がついていて、シーケンサーもついていて、keysにはアンビエントに必須のディレイまで最初からついています。

それではこの小さい箱がどれだけの威力があるか見てみましょう。Volca沼にはまった人は数えきれないほどいるようですが、この演奏が素敵でした。

この動画ではVolca BassとシンプルなLooperを使っていますね。実にスッキリしたセットアップです。

しかしこの方は、深い沼にはまり込んでしまうようで、別の動画を見ると、もうひとり沼のパートナーがいるらしく、二人でうひゃああああああああ

という感じで、Volcaを何十台も(?)つなぎまくっています。

まだ買っていないので不明な部分もあるのですが、ライブで演奏しながらそれをシーケンサーで記録できるのでしょうか?その場合、クリック音でも出るのでしょうか?あるいは自動で小節割り(クオンタイズおよび余計な小節からはみ出た音をカットしてループを作る)をしてくれるのでしょうか。

シーケンサーがあるなら、チート技ですが最初の1パターンはそれでやって、その上に音をかぶせれば、例の「リズムが不安」問題は完全に解消されます。

あるいは上の方たちがやっているような、アンビエントならかちっとしたリズムは、

そもそも関係ない

かもしれません。

この辺はVolcaあるいはシーケンサー付きのシンセでLoop音楽をやる際気になるところところです。

<方法その三 Ableton Live 10 Liteでやる>

さて最後のそしてもっとも興味深い選択ですが、Ableton Live10、それもタダでもらえるLiteでやる方法です。

あんな機材のオマケでやれるの?と思う方が多いと思いますので、私が作った、まだ研究実験の途中ですが、一曲をお聴きください。

「静闘考」Ableton Live 10 Liteだけで作成したアンビエント曲

使用している機材はPCと入力用のUSB-MIDIキーボード、それにオーディオインターフェイスだけです。

かなりイケています。いちおう操作性を考えてUSB-MIDIキーボードやオーディオインターフェイスも使っていますが、実はPCと Ableton Live10 Liteさえあればできるようです。PCのキーボードで鍵盤部分の入力もできるとマニュアルには書いてあります。

タダの機材のオマケについてくるソフトでここまでやれるとは。

まだ実験の途中ですが今のところ、二つほど今のところ問題があります。

一つが、メトロノームの問題です。メトロノームがついているのはいいのですが、メトロノームのカキカキ音をライブで聞き手に流してしまうのは、ちょっとまずいですね。

オープニングにシンバルが四拍打つのは良いと思いますが、演奏が始まってからもピコピコメトロームが鳴ると困るわけです。

Ableton Liveはやはりライブに特化しているだけあって、この問題の対策がしてあって、これを解決するには、オーディオアウトプットが4つあるインターフェースを使って、1/2(のステレオ)を会場の聞き手に、3/4(のステレオ)をメトロノーム音に振り分けることができます。その方法は後で書きます。

もう一つはLiteにはトラック数の制限があって、8トラックまでしか撮れません。私のようなミニマルミュージック系なアンビエントにはギリギリ丁度な感じですが、足りないと思う人もいるでしょう。足りない場合、有料版を買うことになります。

足りなくなる原因が、Ableton Liveでは、まあ他のDAWもそうですが、リバーブやディレイといったエフェクトを音に直接ではなく、一回外出し的に使うとそれで一トラック使うわけです。一度外出し的にしたほうが、元の芯のある音とエフェクト音とがうまく混じるので、普通、リバーブやディレイ系はそうやって使うと思うのですが、これで1-2トラック犠牲になります。

そうすると6トラックしか使えないということになります。

ただ、Ableton Live LiteはLiteのくせに、物凄い使える音が入っています。すでにディレイ・リバーブもかかっている音も多くあるので、あまり要らないかもしれません。

<全体にLoop音楽をライブでやる際問題になること>

最後にまとめますが、 全体にLoop音楽をライブでやる際、問題になること は、

一番最初の録音のリズムが正しいか

ということに尽きると思います。ここさえよければ後はそれを聞きながらどんどん重ねて行けばいいわけです。

この最初の録音のリズムが正しいか、にはいくつかポイントがあって、

その1 録音の出だしの頭は正しいか

その2 例えば四小節のループなら、四小節の終りで録音がちゃんと終わっているか。

その3 録音途中のリズムキープ用のガイド音はあるか

というこの三つです。 Ableton Live Lite のメリットは、カウントイン、メトロノーム、そして小節の出だしになるまで録音開始を待ってくれるという機能があるので、その1とその3はクリアできて、他の選択肢よりは大分有利です。

しかし残念なことに、ループ部分終りの長さを指定してそこで録音を切る機能は今のところ見つかっていません。そうすると4小節のつもりが、リズム感が悪くて5小節の最初までかかってしまった場合、ループの長さが長くなり、4小節のきれいなループが作れないという問題が起きます。

一応、クリップ(録音したもの)の長さを何小節にするかというコマンドがありますが、そこを触っているとマゴマゴしてしまいます。

この辺は更に研究が必要です。ちょっとごまかしになってしまいますが、事前にきっちりとした出だしの4小節だけ作ってしまって、それを流しながら音を重ねていく・・・

これはチートな技ですね(笑)

正しく設定すればメトロノームが聞けるわけですから、きちんと4小節弾いてそこでパチッと録音を綺麗に止める、練習をするしかないかもしれません。

また練習か!ストレスMAXだな( ^ω^)・・・

この辺り、もう少し研究してまた報告したいと思います。

VolcaのBassも導入する予定ですので、Ableton Liveとどうつなぐかもおいおい報告したいと思います。